ナディーヌ・リボー Nadine Ribault という現代フランス女流作家を、おそらく皆さんはご存じないだろうと思います。フランス大手のガリマールからも長篇小説を上梓し、シュルレアリスムやロマン派の系統を引く、本国では決してマイナーではない作家です。
しかしながら、日本では文芸の翻訳物が売れないため、ナディーヌのみならず、海外の目ぼしい現代作家の紹介がなされていない現状があります。
少なくとも1970年代までは、日本は翻訳出版大国だったのですが、今や大手出版社は、映画化やテレビ放映化されるものなど、売れると見込まれるものしか刊行しなくなり、グローバル化と言われる時代とはうらはらに、文芸における輸入を怠ったひどい知的貧困化に陥っています。
ナディーヌ・リボーは、2009年から京都に住んでいたこともあり、幸いにも、弊社は本人に出会い、彼女の新作の詩に巡り会うことができました。
少なくとも1970年代までは、日本は翻訳出版大国だったのですが、今や大手出版社は、映画化やテレビ放映化されるものなど、売れると見込まれるものしか刊行しなくなり、グローバル化と言われる時代とはうらはらに、文芸における輸入を怠ったひどい知的貧困化に陥っています。
ナディーヌ・リボーは、2009年から京都に住んでいたこともあり、幸いにも、弊社は本人に出会い、彼女の新作の詩に巡り会うことができました。
題して『虜われ人の閨房のなかで』Dans la chamber des captures、さすがに愛とエロティスムのお国柄だけあって、ロマン派からシュルレアリスムに至る、愛の狂おしさと驚異の詩的イメージの伝統を引き継いだ佳品というべきものでした。
聞けば、彼女は、弊社が昨年刊行した『塔のなかの井戸〜夢のかけら』で紹介したアニー・ル・ブラン Annie Le Brun (1942〜) に強い影響を受けたとのこと、その出会いの偶然に不思議な縁(えにし)を感じました。アニー・ル・ブランは、アンドレ・ブルトンの謦咳に接した現存する最後のシュルレアリストであり、現在もパリで戦闘的な批評活動を行っている闘士なのですから。
今回、ナディーヌ・リボーの新作の詩を上梓するのに当たって、彼女のたっての希望で、山下陽子さんに挿画を依頼しました。ナディーヌはかねてより、山下さんの絵に惚れ込んでいたからです。昨秋、東京のギャラリー「LIBRAIRIE6 」で開催された山下さんの個展「未踏の星空」連作は素晴らしく、その勢いのまま、山下さんには、ナディーヌの詩に没入して、愛と生命力にみなぎった力強い傑作を生み出していただきました。コラージュ4点と表紙箔押しエンブレム1点、いずれも彼女の最高傑作ではないかと思います。
今回の山下陽子さんの挿画のオリジナルは、5月18日から6月7日まで、神戸のギャラリーロイユで展示されていますので、ぜひ御覧ください。
そして造本は、毎度ながら、アトリエ空中線の間奈美子さんにお願いしました。
10年前に弊社から刊行し、その装幀で高い評価を得た『巴里ふたたび』の造本タイプを、さらにグレードアップし、より瀟洒でエロティックな糸綴じ本となり、弊社自慢の造本となりました。
本書は、すべてを日仏対訳版にし、フランスでも刊行する予定です。ナディーヌの詩、山下陽子のコラージュ、間奈美子の造本、三者の一流の技が相乗効果を生み出して、日本のみならず、フランスでの反響が今から楽しみです。
なお、本書は来夏完成を目途に、特装本の刊行を予定しています。
10年前に弊社から刊行し、その装幀で高い評価を得た『巴里ふたたび』の造本タイプを、さらにグレードアップし、より瀟洒でエロティックな糸綴じ本となり、弊社自慢の造本となりました。
本書は、すべてを日仏対訳版にし、フランスでも刊行する予定です。ナディーヌの詩、山下陽子のコラージュ、間奈美子の造本、三者の一流の技が相乗効果を生み出して、日本のみならず、フランスでの反響が今から楽しみです。
なお、本書は来夏完成を目途に、特装本の刊行を予定しています。
なぜ来夏かというと、山下陽子さんが本書所収のコラージュを銅版画として再作成されることから、時間の余裕を考慮しているためです。本書の、縦に長いスリムな判型を最大限生かした造本を考案しますので、購入希望の方は予約登録をよろしくお願い申し上げます。