本来なら、「シュルレアリスム宣言」及び生田耕作生誕100年の節目に当たる昨年の2024年、しかも没後30年に当たる10月21日の鴨東忌に刊行すべきところでしたが、諸般の事情により4ケ月遅れ、ようやく刊行に至りました。
この『虎紳士』は、21篇のコントから成る短篇集で、1950年にブルトンの絶賛するところとなり、著者のジャン・フェリーの項目が「黒いユーモア選集」に追加収録されるという、破格の評価を得た作品です。しかもブルトンの序文付きで、ジャン・ポーランによって、1953年、ガリマール書店から(原題は『機関士その他物語』)刊行されるや、ジャン・フェリーの名は一躍有名になりました。

その短篇集の一篇である「虎紳士」を生田耕作がすでに1970年、白水社刊「現代フランス幻想小説」に翻訳発表しています。さすがに名訳で、名作と呼ぶにふさわしく、2024年が先述した生田耕作の周年に当たることから、この名篇を再録し、未訳であった他の20篇の短篇も、驚異と奇想に満ちた傑作揃いであることから、このたび松本完治があとの20篇とブルトン序文を新たに翻訳し、ガリマール書店初版本の完訳版として刊行したのが今回の新刊本です。
著者のジャン・フェリーは、映画シナリオライターとして、フランスのヒッチコックと謳われたアンリ=ジョルジュ・クルーゾーや、ルイス・ブニュエル、ルイ・マルなどの映画制作に携わる一方、生涯にわたって、レーモン・ルーセル研究を続け、その研究論文がブルトンに高い評価を得たことでも知られる多才な作家です。
著者のジャン・フェリーは、映画シナリオライターとして、フランスのヒッチコックと謳われたアンリ=ジョルジュ・クルーゾーや、ルイス・ブニュエル、ルイ・マルなどの映画制作に携わる一方、生涯にわたって、レーモン・ルーセル研究を続け、その研究論文がブルトンに高い評価を得たことでも知られる多才な作家です。

読んでいると、ジュール・ヴェルヌ、アルフレッド・ジャリ、レーモン・ルーセル、フランツ・カフカに似て非なる味わいが広がり、味わっているうちに、目に見える現実のあまりのはかなさ、脆さ、その崩壊のたやすさが実感されていくことでしょう。読者の皆様には、本書収録の21もの珍味とスパイスの効いた献立を心ゆくまでご堪能いただければ幸いです。
今回は、本年5月に特装本を刊行する予定です。2年前に刊行したマンディアルグ『汚れた歳月』特装本に引き続き、名匠・須川誠一氏による造本です。革装の中で最も丈夫で上質な本モロッコ革装、ビロード貼りの函付きです。しかも背革を白色羊皮でバインディングした瀟洒な仕上がりとなる予定です。購入ご希望の方は、お早めに弊社までご予約ください。
(予定仕様・ご予約方法 ⇒ 新刊書籍欄 を御覧ください)
今回は、本年5月に特装本を刊行する予定です。2年前に刊行したマンディアルグ『汚れた歳月』特装本に引き続き、名匠・須川誠一氏による造本です。革装の中で最も丈夫で上質な本モロッコ革装、ビロード貼りの函付きです。しかも背革を白色羊皮でバインディングした瀟洒な仕上がりとなる予定です。購入ご希望の方は、お早めに弊社までご予約ください。
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