2023年2月11日
マンディアルグ、本邦初訳『汚れた歳月』刊行
サバト館のオールド・ファンなら覚えておられることでしょう。1970年代後半の同社図書目録に、数年間にわたって、生田耕作訳『汚れた歳月』が近刊予告に掲げられていたことを。結局、残念ながら未刊に終わったわけですが、このたび松本完治訳により、約半世紀の歳月を経て、ついに日の目を見ました。
「汚れた歳月」限定280部私家版表紙(訳者蔵)
しかも、このたびの新刊は、16篇の《幻象綺談》を収録した「汚れた歳月」だけではありません。10篇収録の「絹と石炭」を追加した、誠に読み応えのある本となっております。マンディアルグは第二次大戦下の1943年に、限定280部私家版として「汚れた歳月」16篇を恋人のレオノール・フィニの挿画3点を載せて自費出版したわけですが、その5年後の1948年、ガリマール社の再版時に、「絹と石炭」10篇を追加して刊行したわけです。ですので、今回の刊本は、マンディアルグが書いた《幻象綺談》の集大成というべきものです。
同書マンディアルグの献呈著名入 (訳者蔵)
《幻象綺譚》と何か? これは本書をお読みいただければ了解されると思いますが、全26篇すべてに、驚異のヴィジョンと夥しい奇抜なイメージが怒濤のように繰り出されています。悪夢とエロス・タナトス、異物とグロテスク、血みどろの残酷劇、ありとあらゆる極彩色のディストピア的イメージの連鎖に、健全な読者は悪酔いするかもしれません。しかも各篇それぞれに異なるイメージが横溢していますので、読者各々、好みが分かれるところでしょう。すべてをお読みになって、26篇中、一番お好きな綺譚がどれだったか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。

今回は、本年6月に特装本を刊行する予定です。弊社冊子 『サバト館刊行 全書籍目録』 を昨年に刊行した際、サバト館本を長年手がけてこられた、今や伝説の製本師・須川誠一さんと十数年ぶりにお会いする機会を得ました。
そこで今回の刊本の特装本製作をお願いしたところ、ご快諾をいただいた次第です。

総革装は弊社として初の試みであり、名匠・須川誠一さんによる特装本は、サバト館以来、20年ぶりの復活となるわけです。(とはいえ、この20年間、須川さんは様々な特装本を製作しておられましたが)。しかも革装の中で最も丈夫で上質なモロッコ総革装、ビロード貼りの函付きです。

購入ご希望の方は、ぜひお早めに弊社までご予約ください。
(予定仕様・ご予約方法 ⇒ 新刊書籍欄 を御覧ください)
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